< 上 場 企 業 に お け る 社 長 ・ 役 員 数 と 輩 出 率 >
社長・役員輩出率は現在の社長・役員数を30年前(現在の社長・役員世代が学生の頃)
の学部定員数で割った数値である。
<疑問>
予想通り東大法学部が役員輩出率ではトップである。しかし、社長輩出率では3位に甘んじている。社長は役員に比べ人数が少ないので偶然 (バラつき)の結果とも考えられる。はたしてどうであろうか。<法学部と経済学部はどちらが有利か>
役員輩出率において、法学部と経済学部ではほとんど差がない。しかし一流大学の場合、その役員の構成には大きな違いがある。 経済学部の場合はほとんど民間企業に就職する。一方法学部の場合は複雑である。 就職時には法曹関係や官公庁に進む人 が多く、民間に行く人が少ない。 そしてサラリーマン以外の立場から 後で企業の役員に就任する人が多い。つまり弁護士で企業の役員に就任している人や官庁からの天下りでの役員就任が多い。 例えば上場企業役員に占める弁護士の比率は京大法28%・中央大法24%・東大法23%である(手元集計)。 天下りについては減ってはいるが今でも相当数いるのは確かである。社長輩出率においては東大法学部が3位となっている。 昔は天下り役員も多く民間でも無敵を誇っていた東大法学部であるが、少し状況が変わってきて いる。他の大学を見ても、法学部より、経済学部があきらかに優勢である。 社長になるには法律より経済を学んだ方が有利なのだろうか。私はそうではないと思う。 やはり上記でもふれた役員構成によるところが大きいのではなかろうか。 弁護士の役員には社内昇格組と社外役員がいるが、どうしても監査役や社外役員が増えてしまう。 やはり本流の営業本部長や海外子会社社長などに比べると、社長になるのは難しいのではなかろうか。
また同族企業の存在も影響しているのではないかと思う。 根拠はないが、オーナー企業の2世であれば司法試験をめざす人が少なかったのではなかろうか。当時は今とは比べものに ならない位難しかった。また、社長の御曹司で地方公務員を目指す人はいないのではなかろうか。結局なにがなんでも法学部という人は 少ないはずである。一般的にどの大学においても偏差値では法学部が経済学部より、 2つくらい高目である。受験において偏差値2つ違えば死活問題である。 結局、社長御曹司は受験時に安全策をとり法学部を敬遠する可能性が強いのではなかろうか。 上場企業の1/4が同族企業と言われるので、数値としては非常に大きい。
こう考えてくると数値では劣っても法学部が不利ということにはならない。