< 業 界 別 役 員 勢 力 図 >

業界別の学閥

輩出率は<役員数>を定員(1980年)で除した数値である。
<上記企業の内訳>
三井住友 みずほ 三菱商事 三井物産 住友商事 伊藤忠商事
東京海上 第一生命 セブン&アイ 野村證券 三菱地所 三井不動産
トヨタ パナソニック 新日本製鉄 東芝 日立 
ほか13社(ここまでは時価総額上位50社以内)
9電力会社 全国私鉄 全国地銀 JR・NTT各社

<データについて>

 上から4つは超一流企業(時価総額上位企業)。下から4つは各地域に基盤をもつ代表的な企業。 超一流企業から中堅上場企業まで混在しており、あまり良いデータではないが業界別の 傾向はつかめるはずである。 ■民間エリートの象徴とも言える都銀(メガバンク)はさすがに学閥色が強い。役員を狙うなら東大・京大・慶大・早大以外は厳しいようである。 役員四季報でみるかぎりでは、役員が全部で23人。上記4大学が22人を占める(他は青山学院大が1人のみ)。 過去のデータでは京大経済や一橋大も多い。
■商社は東大法がトップであるが、一橋大経済が僅差で追う。商社は昔から東大法学部でも民間志望者のトップクラスが就職 しているが、一橋はそこで東大と互角にわたりあっている。 商社は学閥色は薄いと言われるが役員クラスではやはり格差がある。しかし、MARCHや地方国立大などの 役員もかなり見られる。
■保険・不動産・他では商社と同じような傾向で東大法と一橋経済が同率トップである。学閥色は薄いと言われるがどうであろうか。
■メーカーでは東大が圧倒的に強い。数値は把握していないが、天下りも含め社外役員が多いようである。 理系のバックがあるので、早慶より、旧帝大が有利かもしれない。
■電力・私鉄・地銀とJR・NTTは地方本社の企業が多いので、本社がどこにあるかで大きくちがう。
■私鉄では関東では役員数で東大・慶大・早大が拮抗している。関西では京大が強い。
■地銀クラスになると東大・京大・一橋は逆に就職者が減ってくる。東大法卒の役員の半数以上は官庁や都銀からの天下りと弁護士である。 関東ではMARCH卒の役員も多くなる。関西では率では京大であるが人数が少なく、あまりめだたない。地元国公立大や 関関同立が拮抗している。早慶は意外なほど少ない。
■JRやNTTは旧公社でやはり東大が強い。30年前の就職者は今の中央官庁のような感じである。しかし分社化がすすんで おり、関西では京大、それ以外の地では旧帝大が健闘している。

<電力に強い京大>

 人数が少なく目立たない京大文系(法+経で1学年わずか600人)であるが、西日本では 絶大なる力を持つ。 電力会社においては京大は東大に対し倍以上、早慶に比べ10倍の役員輩出率を誇る。 理系も含めると電力会社9社のうち京大卒社長は5人を占め、3社で最多役員を占める。東大は社長1人、最多役員 1社である。これはもちろん偶然もあるが、昔から京大の上位層が電力会社に就職しているからではなかろうか。
 また関西の私鉄においては5社中4社で最多役員を占める。地銀でも経済学部が役員輩出率トップとなっている。  それと、できすぎの感はあるが、都銀において法学部が役員輩出率トップとなっている。

<地銀に強い早慶>


慶応・早稲田は人数も多く、日本全国の地銀で存在感を示す。 特に慶応は役員数で東大の倍以上の大勢力である。全国の1/3の地銀で慶応OBが最多(最多タイを含む。)を占める。 役員四季報で地銀をみていると地元国立大VS早慶の感がある。旧帝大や旧高商系の伝統校はなんとか対抗できているが、他の地方国立大 では劣勢を免れない。

<いまだに残る旧高商伝統の力>

 上記には記載していないが、地銀においては旧高商系の経済学部の健闘が光る。 長崎大経済は十八銀行(長崎)に6人の役員がいる。役員6人というのは大学別でも全国地銀でトップタイ、 学部別では単独首位である。
 滋賀大(旧彦根高商)経済は滋賀銀行に5人の役員がいる。滋賀大経済のすごいのは京都銀行に役員が4人いることである。 京都といえば京大のお膝元である。京大卒役員も4人いるが、 経済学部3人法学部1人なので学部別で見れば滋賀大経済が単独首位である。
 現在は人文社会学郡の一部となっている福島大経済(旧福島高商)は東北地方全域に合計 15人の役員がいる。地銀での役員輩出率ならトップ争いの一角である。
 一方、旧高商でない地方国立大は旧帝大に順ずる名門校でも慶応あるいは早稲田に太刀打ち できないようである。旧高商というのは60年前の話だが、その伝統はいまだに受け継がれている。
<参考資料>
2011役員四季報


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